ジブリが憧れた1万年の時代

日本を代表する
スタジオジブリが10年かけて作った映画
「もののけ姫」。

『もののけ姫』は、森の光景から始まる。

そして字幕には
「むかし、この国は深い森におおわれ
そこには太古からの神々がすんでいた」
と流れて、
ゆっくり森のなかに映像が移っていく。

そして「もののけ姫」と書かれたタイトルが
大きく映し出される。

そのタイトルの文字の背景には
壁画のような模様が描かれている。

本当に細かいシーンだから
これが何なのか気づかない人も多いと思う。

この模様は「とある時代」の人たちが
身につけていた土を焼いて作ったお面の模様とされている。

ジブリの宮崎駿監督が
映画のタイトルの模様に入れたくらい
日本のその「とある時代」に特別な憧れを持っていた。

そしてその時代をモチーフに
「もののけ姫」を完成させた。

その時代の名前は「縄文時代」。

それは紀元前13,000年頃から
なんと「1万年以上」も続いた日本の時代。

この時代は本当に驚くべき時代だった。

その間の1万年以上、
人々は一度も戦争を起こさずに調和を保った。

そしてみんな自然の中で
手を取り合って循環する暮らしをしていた。

それが実現できた大きな理由は
自分たちは自然に生かされているとわかっていて
いただいた「命」を皆大切にしていたから。

縄文時代の日本人は
動物や植物の命は自然からの恵みだと理解していたので
むやみに森を壊したり動物を殺したりしなかった。

人間の命も自然そのものの恵みだと考えたので
戦争なども起こらなかった。

だから調和を守って、1万年の文化を維持できた。

ジブリの代表作『もののけ姫』は
宮崎監督がそんな縄文時代の
人と自然が繋がりあっていた
本来の自然観を伝えるために作った作品。

縄文時代の自然観を表すものとして
映画の中で、シシ神というキャラクターが
森の守り神として登場する。

シシ神は生と死を操る能力を持っていて、
あらゆる植物や動物、人間の
傷を癒したり命を吸い取ったりすることができる。

これは自然そのものを表現しているそうだ。

今の日本でも私たちは
自然から受け取る美味しいお米や
そのまま飲める川の水などの恵みと同時に
大地震や津波、噴火なども受け入れさせられる。

私たちは本当に自然の大きな力に翻弄されて
何万年も暮らしてきた。

昔の日本人は今よりもっと厳しい自然環境の中で
良いとか悪いとかを超えた
自分たちにはコントロールできない
自然の力があることを理解していたはず。

だから自然の力を
もののけ姫のシシ神のような存在として受け入れて

どんな時も命を大切に
慎ましく調和を大事にしてきた。

宮崎駿監督は
縄文時代から日本人が大切にしてきた
そういう自然と人間の関わりを表現したかったそうだ。

今は日本だけではなくて
世界中で、自然災害が起こっている。

改めて人間にはコントロールできない
自然の作用を身をもって世界が理解したと思う。

いまだに戦争も起こっているこの時代だけど

宮崎監督が憧れた「縄文時代」。
そしてその背景にある日本人の自然観を表現した「もののけ姫」。

そこを深ぼっていくと
今の私たちに必要な知恵が何か見つかるかもしれない。

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